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「ねぇ」
私は箸で肉じゃがを突きながら目の前で無駄に行儀よく焼き魚を食べている竜に話し掛けた。
「………なんでわざわざNYから私なんかのために来ちゃったの?」
「…………」
「別に今までだってずっと1人でやってこれたし、ぶっちゃけアンタが居なくても私、平気なんだよね」
「…………」
「ってか、ねぇ聞いてる?」
「…………」
問いかけに一切答えようとしない竜。
「あっ、もしかしてウチのママに何か弱みでも握られてるとか?」
この重苦しい空気に耐え切れず言葉を発するも、竜は顔色ひとつ変えることなく黙々と食事を口に運んでいく。
「…………」
………ちょっと何、シカト?
へ、へぇ~そっちがその気なら私にも考えがあるわ。
「いやぁ、でもホントびっくり。あの泣き虫で弱虫で私の後ろにばっかくっついていたあの竜くんが、ねぇ」
ふっ、そっちがダンマリ決め込むならこっちはマシンガントークで応戦してやろうじゃないのよ。
私はここぞとばかりに先程までの不満をブチまける。
「こーんな礼儀知らずで無愛想な奴に変わっちゃうんだもんね~。時の移り変わりってホント残酷」
「…………」
「しかもさぁ!実は年下でなく年上でした、ってコントじゃないんだか……キャ!?」
いつの間に食事を終えていたのか
竜は無言かつ乱暴に私の腕を掴んでいた。
「言いたいことは、それだけか?」
竜の顔は今まで以上に険しく鋭いもの。
げ……ヤバイ、調子乗り過ぎた?
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