25192人が本棚に入れています
本棚に追加
/500ページ
「ふふっ。杏ちゃんはホントに素直なんだね?」
廉さんは、またしても小学生でも褒めるかのように私の頭を優しく撫でた。
「本当は僕の過去で君を縛り付けることも出来たのかもしれない。
でも、杏ちゃんの真っすぐな瞳を見ていたら……僕も卑怯な大人にはなりたくないって強く思ったんだ」
「私は……何も……」
無力な私は恥ずかしくなって更に身体を縮こませた。
------そう。廉さんのこれまでの言葉や行動すべてが……紳士的で且つ大人の対応だったため
私は、どれだけ救われてきただろうか。
実際、精神的にも幼い私が発することが出来る言葉など………何ひとつ無かった。
でも廉さんは、どこまでも優しく¨私のあるべき姿¨を指し示してくれた。
自分の過去をさらけ出してまで…丁寧に教えてくれた。
そんなことから考えても……
「廉さんは本当に尊敬できる大人の方です!!」
私は廉さんの両手を取ると、目を輝かせ大きく頷きながら精一杯の感謝の気持ちを伝えた。
最初のコメントを投稿しよう!