act.28

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「ふふっ。杏ちゃんはホントに素直なんだね?」 廉さんは、またしても小学生でも褒めるかのように私の頭を優しく撫でた。 「本当は僕の過去で君を縛り付けることも出来たのかもしれない。 でも、杏ちゃんの真っすぐな瞳を見ていたら……僕も卑怯な大人にはなりたくないって強く思ったんだ」 「私は……何も……」 無力な私は恥ずかしくなって更に身体を縮こませた。 ------そう。廉さんのこれまでの言葉や行動すべてが……紳士的で且つ大人の対応だったため 私は、どれだけ救われてきただろうか。 実際、精神的にも幼い私が発することが出来る言葉など………何ひとつ無かった。 でも廉さんは、どこまでも優しく¨私のあるべき姿¨を指し示してくれた。 自分の過去をさらけ出してまで…丁寧に教えてくれた。 そんなことから考えても…… 「廉さんは本当に尊敬できる大人の方です!!」 私は廉さんの両手を取ると、目を輝かせ大きく頷きながら精一杯の感謝の気持ちを伝えた。
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