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「別に哀れんじゃいねぇ。ただ…テメェがきちんと杏と向き合わねぇ限り、俺も同じステージには立てねぇからよ」
「…………」
「…テメェの腹ん中にある、そのドス黒いモンを吐き出さねぇ限り…お前も前には進めねぇだろが」
竜の放つ言葉の意味が分からず、「………?」の私。
「…………そうか。で、竜。君はいつからそのことに……」
「………正確には3日ほど前だ。
女に対して、いつもクールなお前が珍しく杏に執着してっから……何かオカシイと踏んではいたんだ。
そんで、甚爺に問い詰めたら……その時初めて、亡くなった娘さんの存在を聞かされてな」
竜もまた真剣な表情で真っすぐに廉さんを見据えた。
「…………そっか。それでこんな回りくどいやり方で僕を嵌<ハメ>めたんだね」
ヤレヤレ……と言わんばかりに、廉さんは大きな溜め息をついた。
「だから別にテメェだけのためにやったワケじゃねぇよ。自惚れんな」
竜もまた呆れたように溜め息をついた。
-----もしもーーし!?
何だか、とっても置いてきぼりを喰らったような……そんな気分の私。
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