act.28

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「別に哀れんじゃいねぇ。ただ…テメェがきちんと杏と向き合わねぇ限り、俺も同じステージには立てねぇからよ」 「…………」 「…テメェの腹ん中にある、そのドス黒いモンを吐き出さねぇ限り…お前も前には進めねぇだろが」 竜の放つ言葉の意味が分からず、「………?」の私。 「…………そうか。で、竜。君はいつからそのことに……」 「………正確には3日ほど前だ。 女に対して、いつもクールなお前が珍しく杏に執着してっから……何かオカシイと踏んではいたんだ。 そんで、甚爺に問い詰めたら……その時初めて、亡くなった娘さんの存在を聞かされてな」 竜もまた真剣な表情で真っすぐに廉さんを見据えた。 「…………そっか。それでこんな回りくどいやり方で僕を嵌<ハメ>めたんだね」 ヤレヤレ……と言わんばかりに、廉さんは大きな溜め息をついた。 「だから別にテメェだけのためにやったワケじゃねぇよ。自惚れんな」 竜もまた呆れたように溜め息をついた。 -----もしもーーし!? 何だか、とっても置いてきぼりを喰らったような……そんな気分の私。
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