act.1

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「えぇ!?転勤?」 私は思わず椅子をも倒してしまう勢いで立ち上がった。 「そう。それで急なんだけどね、パパもママも来週には大阪に発つから……」 パパは何故か満面の笑みでママを見つめながら言った。 「ちょっ、ちょっと待ってよ!年頃の女の子の一人暮らしなんて、親ならフツー心配するんじゃないの!?」 ごくごく一般的なことだけど なぜ娘の私が両親に問う? でも、そんなことお構いなしのママは両手を重ね合わせて 「あぁ!それなら大丈夫よ。二階堂さんとこの竜くんに用心棒頼んでおいたから……」 ウットリした笑みを浮かべ、示し合わせたかのようにパパと見つめ合う。 「用心棒……?竜……?」 江戸時代ですか?ここは.. 「あら?杏ちゃん覚えてなぁい?昔、住んでたアパートの2軒隣にいた竜くん…… あっ、でも2人とも小さかったから覚えてないのかしらぁ?」 『あんちゃぁん!あんちゃぁん』 そういえば むかし私の後ろにくっついてきた、小さい男の子がいたような……。 私は記憶の糸を辿った。
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