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「えぇ!?転勤?」
私は思わず椅子をも倒してしまう勢いで立ち上がった。
「そう。それで急なんだけどね、パパもママも来週には大阪に発つから……」
パパは何故か満面の笑みでママを見つめながら言った。
「ちょっ、ちょっと待ってよ!年頃の女の子の一人暮らしなんて、親ならフツー心配するんじゃないの!?」
ごくごく一般的なことだけど
なぜ娘の私が両親に問う?
でも、そんなことお構いなしのママは両手を重ね合わせて
「あぁ!それなら大丈夫よ。二階堂さんとこの竜くんに用心棒頼んでおいたから……」
ウットリした笑みを浮かべ、示し合わせたかのようにパパと見つめ合う。
「用心棒……?竜……?」
江戸時代ですか?ここは..
「あら?杏ちゃん覚えてなぁい?昔、住んでたアパートの2軒隣にいた竜くん……
あっ、でも2人とも小さかったから覚えてないのかしらぁ?」
『あんちゃぁん!あんちゃぁん』
そういえば
むかし私の後ろにくっついてきた、小さい男の子がいたような……。
私は記憶の糸を辿った。
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