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「カナ、遊びにきたんじゃないの! ごめんなさい、カーミッシュさん」
「いえ、修繕儀式の前に息抜きが必要ではないでしょうか?」
謝る咲江にカーミッシュはそう言った。
「カーミッシュ卿(きょう)、時間を無駄にしてはいけません」
ペケットは表情を変えずに、カーミッシュに小声で忠告した。
「ペケット様、消滅(リミット)まで3日もあります。それに儀式は明後日にならないと行えません」
カーミッシュはペケットにそう耳打ちした。
「そうでしたね。……先代のように、職務をしっかりと熟(こな)して頂くと助かります」
淡々と言うペケットにカーミッシュは頷く。
「肝に銘(めい)じております」
「なになになに? 私も混ぜてくださ~い」
そんな二人を見て、彼方は笑顔で言った。
「はい……実は『現在世界』の時が消滅するまでに3日程あるのです。それに『時計塔』は明後日にならないと修繕出来ません」
カーミッシュはゆっくり言った。「そうなんですか。……そうなら、どうして、今日私たちをここに連れてきたんですか?」
「……その件についてはわたくしが御説明致します」
咲江がカーミッシュに尋ねると、ペケットがそう言った。
「『時空世界』と『現在世界』を結ぶ入り口は、200年に一度、1月1日0時丁度でなければ開く事が出来ません。ですが、時が消滅するのは1月4日です。それに儀式が行えるようになるのは、1月3日午後11時半以降です。その日まで巫女はここで待ち続けなければならないのです」
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