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「はい」
「お兄さ~ん、この世界案内してぇ~」
頷く咲江とは対照的に、彼方はカーミッシュの袖を引っ張りながら、場違いなことを言う。
「え? はい……私でよければ」
カーミッシュは、キョトンしながら言う。
「カナ、もう少し遠慮しなさいよ……ごめんなさい、お願いします」
「……分かりました、ご案内いたします」
カーミッシュはニコリとしながら答える。
「……もう1時半です。咲江様と彼方様は少しおやすまれになられると良いでしょう。カーミッシュ卿、御二人を宿に御案内して下さい」
ペケットは懐(ふところ)から懐中時計を取り出し、そう言った。
「はい、ペケット様。咲江、彼方、宿にご案内いたします。それでは失礼いたします」
「妖精ちゃん、また後でね~」
「おやすなさい、フェアリーさん」 彼方は元気良くペケットに手を振り、咲江は一礼して、カーミッシュの案内で宿に向かった。
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