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昼近く、咲江と彼方はカーミッシュの案内で『時空世界』の大通りを散歩している。この大通りは小さな民家が立ち並んでいて、鮮やかな桜並木が続いているようだ。
「春の陽気、気持ちいい♪ 1月なのに、桜が咲いてるなんて、面白い世界だなぁ~」
彼方は背伸びしながら言った。「はい、まあ。あちらの世界のように四季はありますが、この世界は5年ごとに季節が移ります。丁度、今年は春の季節なのですよ」
カーミッシュは簡単に説明する。
「へぇ~、そうなんですかぁ。ほかにもあっちの世界と違うものありそ~♪ はやく探しに行こ~!」
彼方はそう言うと、桜並木を走り出す。
「さっきぃ~、カーミッシュさ~ん。はやくはやくぅ~!」
彼方はこの世界を探検するのを楽しみにしていたので、周りをキョロキョロしながら走り、二人を呼ぶ。
「カナ、待ちなさい! そんなに急がなくても、この世界は逃げないから!!」
咲江はそんな彼方をたしめながら、カーミッシュと一緒に追いかける。彼女はかなり眠そうな表情を浮かべていた。
「え~、急がば直進って言うでしょ~! ここまでおーいーで♪」
彼方はそんな咲江を尻目に桜並木で一番太い木の下に立ち止まり、二人に手を振る。
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