第4話            懐かしき思い出

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「それは『時空世界の巫女』と『巫女の守護者』だったからです。私達の家系は義務教育の代わりに、フェアリー一族は巫女の、フリッツ一族は守護者の専門知識を、完全に取得しなくてならなかった。そのため、学校に通っていなかった私達は、友人を作ることが出来なかったのです。私は初めて同世代の子どもと、遊んだり、他愛のない話しをしたりすることが出来て、本当に嬉しかった」  カーミッシュはそう言うと、何かを思い出したのか、黙り込む。 「どうしたんですか?」 「いえ、何でもありません」  心配そうに見つめる咲江にカーミッシュは苦笑いし、話しを続けた。 「…ペケット様は人見知りが激しかったので、仲良くなるまでには時間がかかりました。だから、ペケット様が初めて笑顔を見せてくれた時は本当に嬉しかった。その笑顔は、まるで天使のように可愛らしくて……。ゴホン、まあ幼少の頃ですし、ペケット様は覚えていらっしゃらないと思いますが。長々と失礼しました」  カーミッシュはごまかすように咳払いし、苦笑いする。
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