永遠に…

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「マナミ?この物件、会社まで車で3分位の近さだし、俺も出来たらココがいいかも!総務に一度聞いてみるよ、引っ越し遅らせられるか。」 「え?ホント!?嬉しい!」 どうせ長く住むなら、一番気に入った物件に決めたい。 そんな私たちの願いが通じたのか…会社側は快く承諾してくれた。 まるで、全てが順調のようで…。 あんなに抵抗のあった引っ越しが、憧れの物件を手にした喜びで、少しずつ心が躍り始める単純な私だった。 ゴールデンウィークの滞在中は、寮のシングル布団で折り重なるように、ヒロキの腕に包まれながら眠った。 そんな私たちは、今も尚…セックスレス。 この時はまだ…それでもイイと思えた。 この新しい土地で…私たち夫婦は、明るい未来への再スタートが切れると思えたから…。 「じゃあ、ヒロキ?そろそろ時間だから行くね?」 「うん、家に着いたら連絡して?気を付けてね?」 「うん、分かった。暫く会えないけど元気でね?」 「マナミもな?」 数日前に迎えに来て貰った駅のロータリーで、暫しの別れを惜しむヒロキと私。 そして…私たち夫婦は、アパートが完成する迄の間、更に数ヶ月間の別居生活となったのだった。
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