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しばらく見ていると、中から微かに話し声が聞こえる。
「おい!誰かいるのか?」
浩司が声をかけると、急に話し声はしなくなり、あたりは静寂を取り戻す。
たが、しばらくすると、再び話し声が聞こえてきた。
浩司は何とか小さな窓から隣の部屋へ入ると、置いてある人形を眺めていく。
見ていて気付いたが、人形にはそのモデルにでもなったのだろう。小さなフランス人形が持たされていた。
真ん中まで来たところで白いフワフワのワンピースを来ている人形を目にした途端、浩司は驚きで声が出なかった。
そこには、手にしている人形と同じ格好をした春美の姿があった。
まだ生きているように感じるが、春美に触れた浩司は氷のように冷たい感触に愕然とする。
「…………春美…………。ずっとこうして呼びたかったんだ………。ごめんな、春美。俺………お前を守れなかった………ごめんな………」
春美の前で悔しさと悲しさで泣き崩れていると、目の前から声が聞こえてきた。
顔を上げると、半透明の春美が目の前に立っていた。
「…………春美……?」
『菅原くん………。ゴメンね……』
「……なんで………なんで春美が謝るんだよ……。俺が藤原に送ってもらおうなんて言わなきゃ、こんなことに…………」
『いいの。私は菅原くんに無事に出て欲しい………。あのね、ここにいる人形達は、先生に殺された生徒達………みんなの仇を取って………その為に、ここへ行って欲しいの』
「ここって………」
『願いの叶う店、ドールハウスよ』
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