第三話

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真っ白い人形達が鮮血で紅く染まる頃、藤原の体は見る影もなくただの肉片へと変わっていた。 そして人形達は思いを成就したのか、また元の人形へと戻る。 ただ二人を除いては……。 『ありがとう。これでやっと成仏が出来るわ』 「春美様と葉子様の願い、確かに叶えさせていただきました。約束通りに導きましょう。マリー、お願いします」 ルシウスの言葉に頷いたマリーは、春美と葉子を光の中へと導く。 光の中に入った春美は、天に上がる前に桜華に最後の願いを言う。 『城咲さん、最後の約束………。必ず叶えて……』 「わかってる。安心して」 その言葉に頷いた春美は目を閉じると、光と共に天へと上っていった。 二人を見届けた三人が屋敷の外へ出ると、桜華が両手から炎を出し、屋敷を包み込む。 「さようなら………。哀れな少女たち……」 燃え盛る炎はまるで、少女たちへの弔いの炎のようだった。  
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