第三話

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聖光学院、高等部が授業再開してから一ヶ月が過ぎようとしていた。 もうじき本格的な夏が訪れようと、陽射しは日増しに暑くなる。 衣替えになり、校内は夏服の制服で溢れかえるが、一人だけまだ冬服で登校している生徒がいた。 「おはよう、桜華♪♪って、あんた暑くないの?」 「うわぁ~。冬服なのに、顔色1つ変えないなんて、桜華すごぁ~い!!」 「うわぁ~………じゃないでしょ!梢💢💢💢 桜華、あんた夏服買ってなかったの?」 美夏に聞かれ、桜華は不思議そうに話す。 「夏服?そんな話聞いてないわ。それに、全く暑くないもの。暑ければ脱げばいいし………。何も問題ないわ」 「………………」 桜華の言うことに言葉を失った美夏は、隣で笑っている梢を睨む。 「………💦💦💦 ま……まぁまぁ。帰りにルシウスさんに夏服の事を話に行ってみようよ。もしかしたらわからなかったのかもしれないし………」 「…………わかった。んでもって、ガツンと言ってやるわっ!!」 握り拳を上へ掲げた美夏は何だか逞しく見えた。  
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