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「あれ? 光ちゃん来てるん?」
しばらくして・・・萌の声がした。
「おー久しぶり・・・今日は夜勤やなかった?」
「うん。飲みに行ってた。光ちゃんが来てるって分かってたらもっと早く帰ってきたのに」
サラッとそんなことを言ってニッコリ笑う。
俺はこの笑顔にずっと騙されてたんや・・・
「おなか減ってへん? なんか作ろうか?」
「うん・・・」
俺の声に台所に入って行く萌・・・
俺は、今まで萌の何を見てたんかな?
すごくしっかりしてて優しくって、俺が行けばいつも居心地のいい場所作ってくれて・・・
甘えてこないで、泣き言も言わないで・・・
人間なんてそんな強いもんとちゃうのにな・・・
「なあ・・・」
「ん?」
カウンターから萌が顔を覗かせる。
「俺達こんな風にゆっくり会うのって何日ぶりやったっけ?」
「あーそういえば一月ぶりぐらいちゃう?」
「寂しなかった?」
一瞬萌の動きが止まる。萌は俺の方をそっと伺った。でも、俺と目が合うとニッコリ笑って言った。
「別に。私も仕事忙しかったし」
やっぱね・・・こうやっていつもごまかしてたわけ。
でも、それに気付かなかった俺も相当なアホやな・・・
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