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小春は、お腹に手を置いたまま、大声で泣いた。 小春の泣き声が廊下まで響き渡っていたが、 小春にはそれをとめることができなかった。 自分の中で、コントロールできない感情を 泣くことでどうにかバランスをとろうとしているかのように、 ひたすら泣いた。 そして、気持ちが徐々に落ち着きを取り戻し、 涙が枯れた時にはすでに、小春に、 生まないという選択肢はなかった。
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