5人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
「いってきまーす」
エプロンを付けた姉ちゃんに言うと、俺は学校へ足を向けた。
(寒い……)
北風が制服のズボンを吹き抜けてゆく。
俺はマフラーに顔をうずくめた。
それぞれ学校や職場に向かう人はできるだけ暖かくしようと、みんな似たような体制をとっていた。
「寒いよね~」
通り過ぎる女子がまるでオウムのように繰り返す。
ドン!
ふと背中を叩かれる。
振り向くと、堅太郎がいた。
「おっはよ~」
堅太郎はそう言うと俺の隣に並んだ。
転校して以来二週間、1番仲が良くなった奴だ。
「ふぁ~。おはよう」
俺は欠伸をしながら言った。
「寝不足か?純平 夜中に何かやってんのか?エッチな奴め…」
「何でそうなるんだよ」
こんな他愛ないがない会話も続くのも幸せに感じた。
最初のコメントを投稿しよう!