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「えっ、いや…それは」
戸惑う俺に
「そうよね!!えーっと……」
どうやら名前を言いたいらしいがわかるはずもない。
「…純平」
俺は絶対ばれないくらい小さな声で言った。
「ねっ 純平!」
女子生徒の握る手の強さが増す。
「ふざけてんじゃねぇ!」
とうとう男子生徒の堪忍袋の緒が切れたらしい。
「二人まとめて……」
男子生徒は目をつり上げてこっちへ歩いてくる。
「……逃げるよ」
女子生徒はさっきの俺と同じくらい小さな声で言った。
振り返ると同時に一目散に走り出した。
「二手に別れるわよ!後で学校の隣の公園の広場で落ち合うから!」
そう 言って彼女は長い髪をたなびかせながら走って行く。
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