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藍美を支えながら部屋に入ると、電気も点けずにベッドまで運んだ。
冷蔵庫からミネラルウォーターを取りベッドに戻ったが、すでにスヤスヤと寝息を立て眠っている。
『早っ…』
クスクスと笑うと彼女に背を向け、窓際に腰を下ろす。
そして、空を見上げた。
【寂しいよ…会いたいよ…忘れること出来ないよ…】
彼女に気付かれないよう、声を押し殺し心の中で泣き叫んだ。
【沢山泣いても涙はなくならないのかな…上を向いてもどんどん溢れてくるよ…】
朱夏はしばらくの間静かに肩を揺らして泣いていた。
その後ろ姿を見て藍美もまた声を殺し、布団にくるまって泣いていた。
【…いつの間に寝ちゃったんだろ】
朱夏が目を覚ますとすでに藍美は居なかった。
‘またスグ電話すんね!仕事頑張って~藍も頑張らなきゃ!
PS、そんなとこで寝てたら風邪引くぞー(怒) ’
そう書かれた手紙を彼女が掛けてくれた毛布の中で何度も読んだ。
【ありがとね…】
そして朱夏はまた眠りについた。
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