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「そりゃ流石にいねぇだろう…安心して休めよ」
「いや…たまにいるだろう…田畑や水路が心配だからって見に行く人が…」
「………いるかも……」
ヤスナのそういう予感はよく当たるからな…。
きっともう少し経つと…
「……先生っ…開けてくださいっ…」
豪雨に揉まれて途切れ途切れになりながら、戸口を叩く人が来たのだった。
「……センリ、鍵を外してくれ…」
「大丈夫か?寝てろよ…医者だって調子悪いときは無理出来ねぇだろ」
「…大丈夫だ。どうせ隣の爺さんだろうから…」
戸口を開けてみると、そこには6才になる隣の孫が立っていた。
キリトっていう人懐っこい餓鬼だ。
何でもなくても家に来たりする。
「キリト、どうした」
「センリ先生っ…爺さんが水路におっこっちゃったよ」
やっぱり隣の爺さんか…とため息をつくと、半泣きのキリトの目線までしゃがんで聞いた。
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