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「ゲホッケホ……とにかく歩き回っては駄目ですよ。安せ……ゴホッ…ゴホ……安静にしてください」
特にヤスナに懐いているキリトは、さっきからそっちの方ばかりを見ている。
そして何か訴えるような目で俺を見る。
「センリ先生…ヤスナ先生は具合悪いの」
「ん…今日は少しな。でも本人は大丈夫だってよ」
「悪かったなぁ…うちの爺さんがこんな日に出掛けたりするから…」
「いえいえ、こんな雨の日に歩き回れるほど元気ってことですよ」
キリトも偉かったな、と頭に手を置く。
キリトは嬉しそうに笑いながらも、やっぱり心配そうにヤスナを見ている。
優しい子だな。
「そんなに心配なら行って話してきな」
そう言うとキリトはヤスナの所に走って行った。
いくら隣でも、この風と豪雨では帰れない。
俺はヤスナの様子を窺いながら、キリトの親父と爺さんと話していた。
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