霧兎【ヤスナ】

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「ゲホッゴホ……ッ…何だって」 「先生以外のお医者さん」 「…どうして」 ん…と考えるような顔をして、キリトは言う。 「先生もお医者に診てもらわないと、死んじゃう」 「殺すな、馬鹿」 思わず苦笑しながら、病気じゃなくて調子悪いだけだから大丈夫だと言った。 全く小さい子っていうのは素直だな。 「それで、どこにいるの」 「……山2つ越えたところの町にはいるだろうよ。腕はどうだか知らんがな」 「そっかぁ…そんなとこまで行っても、ヤスナ先生より凄い先生がいるか判んないのか」 キリトはまた考えるような顔をする。 私は白湯を飲んで喉を少し落ち着かせた。 雨は止む気配がない。 さっきより強くなっている気もする。 そういえばキリトが生まれたのもこんな日だった。
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