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「俺ねぇ」
目の前にいる、6才になったキリトが言う。
「俺ヤスナ先生みたいなお医者になるよ」
「ほう」
「そいで先生の病気治してあげる」
「病気じゃないと言うのに」
「じゃあ…ヤスナ先生がもっと元気になるようにしてあげるよ」
「はは…それはありがたいな…」
あんなに弱々しかった子がよくここまで丈夫に育ったものだ。
数日で死んでもおかしくなかったのに…
まぁ何と言ってもあの爺さんの孫だからな。
生死にはしぶといんだろう。
「町へ出て…立派な先生の元で勉強するんだ」
「ん?…あぁ私では立派じゃないから駄目か」
「ヤスナ先生は立派だけど、俺に教えてるうちに倒れちゃいそうだから」
この餓鬼…本当に口ばかり達者になりやがって。
私はまだ雫が落ちているキリトの髪を手で梳いて、
「大きくなったな…キリト…」
と小さく言った。
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