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森やその他の土地があんなに荒れてるのに、
風もなく綺麗に晴れた天気が釣り合わなくてなんか気味が悪い。
イヤミなほどの快晴も、いつにもまして妙な静けさも、
…この穏やかさと平和さは
まるで何事も無かったかのように主張してるみたいで…
畜生、不気味だ。
早く誰かに会わなきゃ気が狂いそうに不気味だ。
裏の井戸のすぐ近くで、ヤスナはうずくまって咳き込んでいた。
でも俺が行ったときには大分治まっていたらしく、胸元を抑えて大きく息をついていた。
「…ヤスナ」
「…っはぁ…はぁー…センリ…どうしたんだ」
「ちょっと忘れ物して…なんか机とか…往診にしては不自然だと思って……大丈夫か」
顔色が悪い。
日陰から日向に来ると尚更そう感じた。
だけど俺がそうヤスナに言うと、ヤスナは少しかすれた声で言い返してきた。
「お前だって顔色悪いよ、センリ…何かあったのか」
忘れ物した以外に理由があるんだろう、と言うと、ヤスナはまた咳き込んだ。
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