真白【キリト】

3/11
44人が本棚に入れています
本棚に追加
/118ページ
「おっ…とと」 道はぬるぬるふかふかになっていた。 何回も転びそうになりながら下まで下りる。 「こんにちはぁ」 「あぁ、キリト」 机の周りを盛大に散らかして、ヤスナ先生は顔を上げた。 俺は野菜の包みを置く。 「これ、昨日の」 「…いつも沢山すぎて何だか悪い気がするんだが」 「いいの。うちにまだ余ってるし…それに父様がね、ヤスナ先生はこういう野菜いっぱい食べなきゃ駄目だって」 「それはセンリに毎日うるさく言われてるよ」 ヤスナ先生は笑う。 先生が笑うのはすきだ。 だって先生はいつもほとんど、心配な顔か苦しそうな顔しかしないんだもん。 センリ先生は太陽みたいに笑う。 センリ先生の笑った顔は全然壊れそうに無いけど、ヤスナ先生の笑った顔はひとつきで壊れちゃいそう。 センリ先生が太陽ならヤスナ先生はろうそくの火。 それを前2人の前で言ったことがあったけど、そのときの笑い方も俺が思った通りだった。
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!