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「おっ…とと」
道はぬるぬるふかふかになっていた。
何回も転びそうになりながら下まで下りる。
「こんにちはぁ」
「あぁ、キリト」
机の周りを盛大に散らかして、ヤスナ先生は顔を上げた。
俺は野菜の包みを置く。
「これ、昨日の」
「…いつも沢山すぎて何だか悪い気がするんだが」
「いいの。うちにまだ余ってるし…それに父様がね、ヤスナ先生はこういう野菜いっぱい食べなきゃ駄目だって」
「それはセンリに毎日うるさく言われてるよ」
ヤスナ先生は笑う。
先生が笑うのはすきだ。
だって先生はいつもほとんど、心配な顔か苦しそうな顔しかしないんだもん。
センリ先生は太陽みたいに笑う。
センリ先生の笑った顔は全然壊れそうに無いけど、ヤスナ先生の笑った顔はひとつきで壊れちゃいそう。
センリ先生が太陽ならヤスナ先生はろうそくの火。
それを前2人の前で言ったことがあったけど、そのときの笑い方も俺が思った通りだった。
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