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「さっきセンリ先生見たよ」
「あぁ、一度帰ってきたんだ。道が悪すぎていつもの足じゃ歩けないんだと」
「いーなーセンリ先生、俺も森に行っていろんなもの集めてきたい」
ヤスナ先生は薬草を刻む手を止めて、顔を上げた。
「行ったらいいじゃないか」
「俺が前言ったら、センリ先生に駄目だって…危ないからだって」
「お前、医者になるんじゃなかったのか」
そうだけどさぁ。
俺は先生たちみたいに兄弟いないもん。
だから薬草集めたりするのも自分でやんなきゃじゃん。
「…山を越えて町に出ればな…薬材を売ってる店があって、集めに行かなくても買えば良いんだぞ」
「薬材屋?」
「薬種問屋ってんだよ」
「じゃあヤスナ先生の父様は、そこのお店の薬草を使ってたの?」
「まぁ、町にいる間はそうだったろうな」
「へぇえ…」
町なんてとても遠い。
でも行ってみたい。
すっごく遠いんだろうなぁ。
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