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ヤスナ先生もセンリ先生も俺はすきだ。
先生たちは仲が良い。
兄弟とは思えないほど正反対の部分が多い双子。
小さいときから兄弟で支え合ってる、だから優しいんだって爺さんは言ってた。
親に頼らないで生きてきた人たちだからって。
「…ッケホ」
ヤスナ先生が小さい咳をした。
続けて何回か咳き込む。
「先生大丈夫?」
「…ッゲホ…キリト、帰…っ……ゴホッゴホ…ゲホ」
先生は細い指で、胸元の着物を握るように掴んだ。
座ったまま横を向いて机から少し離れる。
そして休みなく咳き込みながらうずくまった。
俺は怖くなった。
「…ヤスナ先生」
「ぅっ……ぐ…ゴホッゴホ…キリト…帰れ」
「やだよっ…帰れるかよ」
俺は床に手を突いて、ヤスナ先生に向き合って言った。
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