真白【キリト】

6/11
44人が本棚に入れています
本棚に追加
/118ページ
ヤスナ先生もセンリ先生も俺はすきだ。 先生たちは仲が良い。 兄弟とは思えないほど正反対の部分が多い双子。 小さいときから兄弟で支え合ってる、だから優しいんだって爺さんは言ってた。 親に頼らないで生きてきた人たちだからって。 「…ッケホ」 ヤスナ先生が小さい咳をした。 続けて何回か咳き込む。 「先生大丈夫?」 「…ッゲホ…キリト、帰…っ……ゴホッゴホ…ゲホ」 先生は細い指で、胸元の着物を握るように掴んだ。 座ったまま横を向いて机から少し離れる。 そして休みなく咳き込みながらうずくまった。 俺は怖くなった。 「…ヤスナ先生」 「ぅっ……ぐ…ゴホッゴホ…キリト…帰れ」 「やだよっ…帰れるかよ」 俺は床に手を突いて、ヤスナ先生に向き合って言った。
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!