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「危ないなぁ…もう少しで変な方向に曲がってたよ」
「そしたら流石の俺も気付いたかもね」
「馬鹿。明日からしばらく、森に入るの止めて」
「え、大丈夫だよこんなん」
包帯を巻いてる間、センリは笑いながら、
今日だってこのまま歩いてたんだし♪なんて言っている。
だから…それは気付いてなかったからだろ……
するとセンリは真顔になって、しばらく黙った。
……?
「………ん?」
「ねぇヤスナ」
「なんだよ」
「お前さ、朝からその着物だったっけ?」
そう聞いたセンリの顔は至って普通で、つまんないことを聞いたくらいにしか思ってなかったんだろうけど。
普通でいられなかったのは私だ。
思わず包帯を巻く手が一瞬止まった。
……そりゃ思うよ。
だって朝会ったときは白い着物で、帰ってきたときは紺色なんだから。
だけど理由なんて…
…理由なんて。
私は怪訝な顔をして、センリの顔に片手を触れた。
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