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次の日、村人の1人が往診に来た。
村はずれにあるのは家とキリトの家くらいで、あとの家はもう少し先の開けた平地にある。
その集落からここまで来るのはそんなに大変じゃない。
とりあえず道はあるし、村自体がとても小さい。
普通ならこっちから病人や怪我人の家を伺うところだ。
…にもかかわらず、何も言ってないのに村人が自ら往診に来るのは、
……私の体の弱さが誤解の域に達するほど知られているからだ。
村人の中には、私を家から家まで歩かせると死ぬと思っている者もいる。
……死ぬか!そんなんで!
……走ったら死ぬかも。
「こんにちは、すみません」
「はいよ」
大丈夫だと言って聞かないセンリをどうにか説得して、今日は家に引き止めた。
でもじっとして居られないらしく、ガタが来ているこの家をあっちこっち修理している。
…この間の嵐で屋根も大変な事になったしな…。
それで外から入ってきたばっかりの時に村人がきた。
センリが戸を引く。
訪ねてきたのは、前から仲良くしている家の、たまに薬を貰いに来る者だった。
その家の主人が頭痛持ちで、子供である青年や娘がたまにこうして来る。
今日来たのは娘だった。
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