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センリは再び修理を始めた。
位置的に私に背を向ける形で修理をする。
「さーてと、ここいらも直しておこうかな……」
「気をつけて」
「…ねぇヤスナ、………本当に…大丈夫なんだろ?」
「……は」
顔をこっちに向けてないから、センリがどんな顔をしてるのかは判らない。
でも、さっきとは声が違う。
私はセンリの後ろ姿を見つめた。
「確かによく体調は崩すけど、大丈夫なんだよな?」
「…センリ」
するとセンリは道具を置いて、私に近付くと泣きそうな顔をして、
「気のせいだよな…。俺の気のせいなんだよな?俺最近…本当に怖くて」
と掠れた声で言った。
そして俯いた。
後ろに高く結んだ髪が揺れている。
震えてる。
センリは私が不治の病にかかっている事は知らないけれど、
ここのところ続いた体調不良で、私の体に不安を感じてはいたようだった。
私はそんなセンリを目の前にして言葉が出ずに、黙ったままでいた。
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