転落【センリ】

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「最近キリト見ねぇな」 ある朝、質素を極めた朝食を食べながらふと呟いた。 食べ物が酷いのは村中どこの家もそうだ。 今年は秋になってから作物の出来が悪い。 これまで稀だった嵐や大風が頻繁に来る。 キリトの家はいつも様々な野菜を豊作にするが、今年のこの異常な気候にはかなわなかったらしい。 だからなのかな、とも少し思った。 「センリは一日中森に行ってるからだけど、昼には来るよ」 「あ、そうなんだ」 「来るたんびに『センリ先生はぁ~?俺センリ先生にも会いたい~』だ」 「はははは」 キリトが医者になりたがってるのは前に聞いた。 だが森には絶対来てはいけないと言い聞かせてある。 だから連れて歩くわけにもいかないしな… 「じゃあたまには少し早めに帰ろうかな」 「そしたら喜ぶよ」 「……キリトって家に来て何してんの?」 「何してるって………」 ヤスナは箸を置いて、考えるような顔をした。
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