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「うわっちゃ~…」
ベッドの上で起き上がった少年の目線の先には、角の丸い四角の目覚ましが置かれており、自分の使命、鳴るという行為をしっかりと果たしていたのだ。
スヌーズ機能搭載のその目覚ましは無情にも、朝の8時半を示していた。
「遅刻だな…こりゃ…」
少年の通う高校は、8時半にHRが始まり、教師が出席を取る。
………一秒たりとも余地はない。
「いいや…サボろう…」
少年は不真面目な覚悟を決めつつある時、茶髪の頭を掻きながら、ベッドの上に再び寝転ぶ。
そして不意に見慣れた天井を見つめた。
「………またかよ…」
天井には一枚の紙が少年宛に貼ってあった。
《~隼人へ~お父さんとお母さんは旅行に行ってきます!!家の事宜しく!!》
文面の最後にはまるっこいピースサインが描いてある。隼人は、顔に手を当て、ため息を一つ漏らした。
隼人の両親は病気と呼ばれる程の旅好きで、高校へ進学する程の年齢になると、隼人を置いて旅をする程旅好きなのだ。
「いいけどね…気ぃ楽だから。」
隼人は横向きに寝返り、また夢見心地になり始めたとき、インターホンの来客を告げるベルがなった。
「いませんよ~現在夢の中で~す。」
もう一回ベルが鳴る。
「居ないってばしつこいな~」
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