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気に入らない。
「れいた」
声を掛けてもアイツは返してくれない、というか全く聞こえてないのだろう。俺の目の前でれいたはさっきからずっと戒くんと話している。俺の声にも気付かないほど、楽しそうに。
イライラ。
顔に出さないようにしてるつもりだけど、イライラが治まらなくて仕方ない。今にも携帯折りそうなくらいだ。自分勝手なのはわかっているが、どうしても俺の目の前で仲良く話しているのが気に入らない。メンバーと話してるの見ただけで妬いてるなんて、どうかしてる。
そんなことは重々承知だ。
「なにイライラしてんねん」
「……別に」
ヘラヘラと笑いながら近付いてきた葵を睨みつけてやると、おー怖い怖いって軽く流された。むかつく。緩慢な動きで隣に腰を降ろす葵を横目で再び睨む。
「原因はアレか?」
小馬鹿にしたようにケラケラと笑いながら指を差した先には戒くんとれいたの姿。
「…そんなんじゃない」
「ふーん、違うんだ?さっきから物凄く睨んでるからてっきり妬いてんのかと思ったわ。」
「うるせえ」
「気付いてないみたいやから言うけど、わかりやす過ぎ。」
相変わらずふざけた顔して小馬鹿にしたような笑いを繰り返す葵に心底腹が立った。顔に出てるって言いたいのかよ馬面。
ニヤニヤしながら頭を撫でてくる腕を思いっきり振り払ってやった。早く麗のとこに帰れ。面白がってんじゃねえよ、腹立つな。
「あ、噂をすれば姫のお出ましだな。」
「誰が姫だ」
戒くんと話していたはずのれいたがいつの間にか輪に混ざっていて、ふざけたこと抜かしてる葵の肩を押してる姿が目に入った。
「れーたは可愛いなぁ、ルキにはもったいねー。じゃ、俺はハニーのとこいってくるわ」
ニヤニヤとからかうように口角上げながら見せつけるようにれいたの頬を撫でるとそそくさと麗のところに走っていった。れいたはキョトンと首を傾げながら俺の隣に座った。
どいつもこいつも腹立つ奴ばっか。イライラしすぎて頭が痛くなってきた。
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