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夕暮れ時。
並んであるく私達。
少し離れて動く2つの影。
私達の顔が赤いのが、
夕日のせいなのか
この距離のせいなのか
いまいち解らない。
君の口元はマフラーで
隠れている。
お互いに、言葉をはっしなかった。
ただならんで歩いているだけで
胸が高まって
言葉なんてでてこない。
そのまま何十分もすぎていく。
その何十分が
もどかしくて
嬉しくて
恥ずかしくて。
お互いに話そうとして、
話せなくて。
ふと、
君の顔を見ると、
目が合ってしまった。
足を止め、
見詰め合う。
マフラーの中で、君の口元が
もぞもぞと動いた。
離れていた影が、
一つになる。
ずっと見ていた夕日が、
1つになった影と一緒に、
私達を優しく包んだ。
「手、つないでいいか?」
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