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「おそいなぁ~~ベンチ」
途中雨が強くなってきたので、白いベンチの下でひたすら帰りを待っているネネ
すると、向こうの方から黒く小さいものがこっちに向って歩いてくるのが見えた。
「あ! ベン……チ?」
しかし、様子がおかしい。フラフラと左右によろけており、足もとがおぼつかない様子。
なんだろう、この胸騒ぎ。とてつもなく嫌な予感がする。
ネネは走った。そうせずにはいられなかった。
近づくにつれ、その様子がはっきりとネネの視界に入る。
やはりベンチだった。
ただいつもと違う。体中傷だらけで、いたるところから出血している。右後ろ足と左前足はおかしな方向に曲がっており、立っているのもやっとの状態。普段はピンと天に向かっているはずの尻尾も、今ではダランとたれさがっている。
「ベンチ!!」
言い知れぬ不安がネネの頭の中をよぎる。
ネネがベンチのもとにたどり着くと、ベンチは力なくその場に崩れ落ちた。泥だらけのタイがペチャリと落ちる。
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