10人が本棚に入れています
本棚に追加
「後ろの……おじさん?」
ベンチは嫌な汗をかきながら、恐る恐る振り向く。
「てめぇ……今日という今日は容赦しねぇぞ!」
そこには頭にタオルを巻き、右手にホウキを握りしめた体格のいいおじさんが、ゼエゼエと肩で息をし、顔を真赤にして立っていた。
おじさんはホウキを振り上げ、ベンチめがけて叩きつける。ベンチはひらりと身をかわし、ネネに向って叫んだ。
「ネネ! 逃げるぞ!!」
「うん!」
二匹の猫はおじさんの足元をスルリとすり抜け、商店街の人波に消えて行った。
「ちくしょう!! またやられた!」
おじさんはホウキを叩きつけながら叫んだ。
最初のコメントを投稿しよう!