第2章 異変。

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放課後。 チャイムとともに終わった授業。 俺は、階段を駆けて靴箱までいった。 そこには、愁が待っていた。 「おそいよ。勇次。」 少しムッとしながら愁がいう。 「ごめんな。先生の話がながくてさぁ。」 「そう。…先生に言っとくよ…。」 「?」 俺は、そう。のあとの言葉が聞こえなかった。 でも、その時は別に気にしてなかった。 「まっすぐ帰るか?」 「うん。」 俺は、ちょっと寄り道していこうと思ったが、愁の機嫌が悪いのでやめた。 「おーい。勇次!!」 クラスの男子が話しかけてきた。 「ちょっときて。」 なぜか愁の前では話さず、愁から少し離れた場所で話した。 「何?」 「あしたさ、サッカーやらねぇ?放課後なんだけど。」 「やるけど…。どうして愁から遠い場所で話すんだ?」 「…あいつ、サッカーできなそうだからさ、お前にだけ言うのなんか…さびしいじゃん?」 「まぁな…。」 そうか。気を使ってくれたのか。 「じゃあ、明日。」 「ああ。」 俺は話を終えて愁のもとへと戻った。 「!」 足が止まった。 愁がまた、俺を睨んでいる。 冷たい目で。 「ど…どうしたんだよ愁!」 「…何話してたの…?」 「なにって…」 「何話してたんだよ。」 冷たい愁の言葉よりも あの目が怖かった。 「ああ…明日、放課後サッカーに誘われたんだよ。」 「…いくの?サッカー。」 「ああ。だからさ、明日は愁と帰れないわ。」 「そ。」 フイッと愁は後ろを向いた。 俺はほっとした。 「帰ろう。」 「おう…。」 愁が怖い。 俺はしだいにそう思うようになった。 そうだ。何を考えてるかわからないんだ。 顔を見たって…あいつはいつだって真顔だ。 それがよけいに怖いんだ。 「勇次。」 「なに?」 「勇次はさぁ…僕のこと、友達だって信用してるの?」 「え…何言ってんだよ。当たり前だろ。」 「そうか。ならいい。」 「…俺、今日この角を曲がって帰るな。じゃ。」 「うん。明日も学校で。」 「ああ!」 俺は走った。ただひたすら走った。 今、俺は思ったんだ。 本当に愁が怖いって。 暴力の意味では違うけど…。 違う意味で愁が怖いんだ。 逆らったり、嫌われたり恨みを買うようなことをすれば危ないかもってこと。 あいつとだけは仲良くしなくちゃ…。 翌朝。 「行ってきます。」 俺は家を出た。 玄関を出て学校へ行こうとすると愁がいた。 「おはよう。」 「はよ…。」 いつもと違う雰囲気だった。 なんか…危ないオーラだ。
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