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「ねぇ勇次…早く教室行こうよ。」
愁が話しかけてきた。
「お前…こんな状況なのに…。」
「いいから早く…」
愁は俺の手をつかんだ。
愁の手は冷たくて…震えるくらいだ。
「待てよ、おい、愁…」
突然愁が、俺の手をつかんでいた手をグッと締めてきた。
「っ…」
あまりの痛さに声を上げそうになった。
なんて力…。
教室。
愁がおれの手を離して、席に着いた。
ちょうど俺の隣の席だ。
「勇次、僕のこと本気で親友って思ってる?」
「…なんだよ…突然…。」
「質問に答えてよ…。」
ぐっと俺を睨む愁が怖くて、おれは答えた。
「思ってるよ…。」
「そ。ならいい。」
「…愁…。最近さ、お前変だよ…。」
「何が?」
「この頃さ、お前おれのこと
睨み過ぎじゃね?」
俺は唾をのんだ。
一体どんな返事が返ってくるのだろう。
「…だから?…」
あきれた。そっちこそ質問に答えろよ。
「愁のほうこそおれのこと、友達と思ってないだろ!?」
俺はつい、声を怒鳴り上げてしまった。
だけど、教室には誰もいなかったから、そんなに気にしなかった。
「…思ってるよ。勇次は親友だって。」
「じゃあ…なんで…」
「睨んだのは勇次の見間違いじゃない?」
「え…。」
そうかな…。
確かにそうかもしれない…。
「そっかな…。」
「そうだよ。」
でも、俺は信じられなかった。
愁はうそをついてると確信したからだ。
やっぱり、愁はおかしい。
何か隠してるような…
俺は愁の異変にきずいてきたのかもしれない…。
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