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次に彼女を見た場所は、放課後の教室。
彼女は一人きりで席に座ったまま、ただ茫然としていた。
僕が声をかけると、彼女はゆっくりと振り向いて、また微笑んだ。
困ったような、今にも泣き出しそうな笑みだったけれど、その頬に涙の跡はない。
彼女の机の上には、切り刻まれたノートや教科書。それとカバンがあった。
何か声をかけようと思ったけれど、その前に彼女は立ち上がり、無言で教室を出ていってしまった。
残されたイジメの痕。
僕は、黙ってそれを眺めていることしかできなかった。
意味なんてないのに。
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