お引越し

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「…はい」 俺はおずおずとドアを開ける。 目の前にいたのはパジャマ姿の女の子。前髪をゴムで縛っている。 活発そうで、でもどこと無くカワイイ。 その女の子が目の前で不機嫌そうに立っている。 今まで寝てたんだなとはっきりわかる。 「すいませんけ…ど…?」 ん? 怒鳴りかけた女の子が俺の顔をまじまじと見つめてきた。 途端に女の子の顔が赤くなる。 「あのォ…私を食べちゃって下さいッ」 ………へ? 女の子は俺が必死に整理しようとした頭を手で絡ませて、顔を近づけてきた。 目をつぶる女の子。 互いの呼吸を感じれる距離になり。 重なる唇。 時間が止まった。 未だに理解出来ない状況。 ゆっくりと唇が離れる。 トロンとした目。 思わず釘づけになった。
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