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瞬間、脳裏をよぎるのは昼に友人から聞いた噂。
コインロッカーの前に浮かぶ赤ん坊。
それに思い至った途端、全身にゾクリとした悪寒が走った。
同時に、それまでは欠片しか聞こえなかった赤ん坊の泣き声が、確実に大きくなっている。
そして、コインロッカーの方から来る異様な気配。
(…………見ちゃ駄目)
本能も理性も、見てはいけないと警告している。
(駄目……見ちゃ駄目………)
しかしそんな思いとは裏腹に、首は徐々にコインロッカーを振り向こうと捻れていく。
(駄目…………駄目…駄目………嫌だ……駄目……嫌だ嫌だ駄目駄目駄目嫌だ駄目嫌だ駄目嫌だ駄目駄目嫌だ)
完全に、振り向いた。
振り向いて、しまった。
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