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「大丈夫、落ち着いて。警察は確かに役に立たないけど、まだ助かる術はある。」
泣きそうな目で少女は警察官の顔を見る。
「名神楽っていう奴がやっている探偵事務所がある。……住所を書いた紙はこれね。そこの所長、名神楽師堂を訪ねるんだ。彼は絶対に君を助けてくれるから。」
警察官はそう言うと紙切れを少女に渡した。
少女は不思議そうにその紙切れを見つめると、警察官に訊ねる。
「あなたは…………何者なんですか?」
警察官は少女に背を向けながら、言った。
「僕の名前は、笹山凍(ササヤマコオル)。ただのしがない公務員さ。」
「笹山、さん。」
「ま、僕の名前なんか気にしなくていいよ。それよりほら、時間も遅いし帰りなさい。送っていってあげるから。」
結局少女は、笹山に家まで送ってもらい、礼を言って別れる。
しかし別れ際。
「あ。名神楽の所だけど、明日には行きなよ?早く行かないと、手遅れになったら大変だからね。」
少女がうなずくと、笹山はそれじゃ、と言って帰って行ったのだった。
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