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愛しいものの元へ
「XANXUS……」
重そうな扉の前で一人言のように囁く、毎晩のことを思えばわかるはずなのに、それ以上のものをわざわざこんなところまで来て求めようとする自分を本気で女々しいと思っていた
コンッコンッ
軽いノックを二回して、相手からの返事を待った。しばらくすると「入れ…」と小さく、低い声が耳に届く、愛の言葉もこんな声で囁かれるのかと考えると、まだ言われていないのに歓喜で胸が高鳴った
「………」
ギィッ…と軋む音を立てて部屋に入った俺は後ろ手で扉を閉める。そしてすぐさま、XANXUSの方へ目を向けた
だが、仕事をしている為か、入ってきたことに気づいているはずなのにこちらを見向きもしない。
そんなXANXUSを見ていたら、こんなくだらねぇことの為に手間をとらせる訳にはいかねぇな…と少し弱腰になり、部屋を去ろうとした
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