勘違いから始まる

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勘違いから始まる

荒野には血とオイルとが 混じりあった風が 鋼鉄の巨人の肌を撫でていた 戦場――内乱から始まった戦火 その最前線に立つのは機甲兵 機械仕掛けの巨兵 唸りを上げる関節に 土や土砂を巻き上げて 突撃する巨体 灼熱するブレードが 敵の機甲兵のコクピットを 串刺しにしたかと思えば 次の瞬間にはその 機甲兵が敵の狙撃砲により 頭と首、その直下を まるごと失い地面に倒れた。 まさに鋼鉄の溶鉱炉 命と金と燃料と弾薬を 混ぜ合わせて 溶かし気化させる地獄の光景 そんな炎の大地で 新米機甲兵乗りのソーマ・ ラバンティは 泣きながら機甲兵を 必死に操作していた 「嫌だ、来るなぁ! 俺は死にたくねぇ!!」 戦闘に突入して ほんの一分でライフルの弾を 撃ち尽した 予備弾倉に交換する 余裕も冷静さも無くして ただ死にたくないと ブレードをやみくもに降る姿は どこか滑稽だった ただ乱戦の最中では それに気づく者は いなかったが
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