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しばらくスクーターを
走らせると
目的地が見えてくる
かまぼこの形をした
小学校の体育館の様な建物から
金属を削る様な
かん高い音が聞こえていた。
小学校の体育館なら
外側はそれなりに
綺麗な外観だが
この建物は見た目錆色で
今にも倒壊しそうな
雰囲気がある
ジャンクの山に半分
埋まっている形の建物は
それ自体がごみ山の
一部であるかの様にごく
自然に存在していた。
ただ他のごみ山と違うのは
そこに生活の痕跡が
見え隠れしている事だ。
「レオ、お昼ご飯
持って来たよ!」
返事はない
別に期待もしていない
いつもの事だからだ
「レオー、レオナルド。
入るわよ?」
スクーターを
建物の脇に止めて
中へと入る
外側がごみの山なら
内側はさしずめ
ごみ屋敷とでも言うべきか?
外のジャンクと
大差ない機械のパーツと
工具類が所狭しと並んでいる
一応種類毎に整理はしてあるが
整理しているのは
彼女であって
この建物の主ではない
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