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「内緒」
「って、またかよ」
遙は要に向かうように座った。テーブルにあったトースターと食パンを見て、手を動かす。
「秘密のない人間なんていねぇだろ?」
「赤ん坊は?」
「記憶自体がほとんどないだろ」
「赤ん坊の頭ん中なんて見た事ないだろ?」
焼けた食パンにジャムを塗りながら遙が言う。口調の似ている親子だ。
「ある」
「は?」
指にジャムがつくが、遙は唖然としたままだった。
「お前が赤ん坊の頃に、頭ん中見た。訳が分からなくて頭痛になったけどな……」
「……ぷ、プライバシーの侵害だ」
「自分のガキにプライバシーなんざねぇ」
言い切った要に遙は苦みばしった顔をした。
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