惚れた欲目

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さっき抱きしめられたのがよほど恥ずかしかったのか、帰り道も少し俺の後ろを歩く美咲を気にしながら黙って歩いていると、囁くような声でまた独り言が聞こえてくる。 『…別にイヤなわけじゃないの。ただ、テニス部の人とかに見られたら国光くんが困るかなって…。人前でベタベタするの、私はいいけど国光くんは部長だし…。』 「美咲、また声に出てるぞ。あんな時間にテニス部の人間が図書室には来ないだろうし、部長だからって理由はおかしくないか?。」 『えっ?。あ、ごめん。そうだけど…もし見られてからかわれたりとかしたら、部長の威厳に関わるかなって。』 相変わらず突拍子もないことを言う美咲に、苦笑いしながらも可愛いと思うのはやはり惚れた欲目なのだろうな。 「美咲。並んで歩かないか?。」 『えっ?。うん。』 返事をして近づいてくる美咲をまた抱きしめる。
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