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たまに、すごく不思議な気分になった。
彼女は新卒で入った1年目の社員で、とても若いのに、20以上も歳の離れた俺と、なぜ?と。
彼女との日々はただ、ただ新鮮で、
もう長いこと忘れていたような感覚が甦り、自分が20代であるかのような錯覚を起こしそうなくらいだった。
あれから5年か‥
早いもんだな、と苦笑する。
年が明ければ、息子は大学受験だ。
自宅に着くと、相変わらず冷えきった暗い玄関をそっと開けて入る。
ただいまも言わず、お帰りも言われず、当たり前になった冷めた夕飯を電子レンジに突っ込む。
淋しい、よりも落ち着く。
いつからそんな風になったのか思い出せない。
妻と顔をつき合わせて飯を食うことは、社長と飯を食うよりも億劫だった。
いつからだろう。
産まれて50回目の誕生日の夜も、昨日と変わらず飯を食って寝た。
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