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翌朝、目を覚ますと、息子と妻の話し声が聞こえた。 時計を見ると6時だった。 身支度を整え下に降りた。 居間に入ると、朝ごはんを食べながら参考書を持っている息子と、台所に立つ妻。 「おはよ。」 息子に言われ、おはようと挨拶を返す。 「孝之、飯の時ぐらい勉強休んだらどうだ。」 「ああ」 息子に言うと、お茶を淹れている妻から非難の視線を感じた。 「受験生に休む暇なんて無いわ。」 妻が言う。 「そんなことないだろ。」 妻は答えない。 変わりに息子が 「もうギリギリだから、勘弁して。」 最近妻が口を開くといえば、息子の大学受験と、大学の下見、受験料に、受かった後の学費のことだけだった。 それ以外の会話という会話は無い。
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