大好きだから (青緑前提黄→緑/黄視点)

15/20
前へ
/20ページ
次へ
…やっぱりそうだったか 前々からたまに自分と同じ匂いを感じる事があった。 だから所詮疑惑が確信になっただけだったため、頭の中は案外冷静だった。 カラン そう頭はいたって冷静。 でもやはり体は正直だった。 浦正の告白を聞いた後体の力が抜け、ぎゅっと握っていた右手から500円玉が滑り落ちた。 落ちた音がやけに大きく聞こえたのは、きっとこの沈黙のせいだろう。 俺は何も言わずにその500円玉を拾い、浦正と顔会わさず開いたままのドアから教室を出ようとした。 「ザン!多分…いや、絶対狂平は屋上にいるから!」 後ろで浦正が叫んだ。 「そんなの俺でも分かるよ」 俺は浦正に振り返らず足も止めずに答えた。 「ならもう1つ!飲み物はシナモンの入ったやつ買ってやってくれ!あいつシナモン好きなんだ!」 何も答えない代わりに右手を上げた。 そのまま自動販売機で飲み物を買って、屋上を目指した。 ガチャっと屋上の扉を開けると、柵に肘を置き、緑色のネクタイをなびかせながら空を眺める、狂平がいた。  
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

148人が本棚に入れています
本棚に追加