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星野昴16才。今日16才になったばかりの高校1年生だ。今日は昴の記念すべき誕生日。多分…。
「今日このあとどうする?」
昴は友人と遊ぼうと思って予定を尋ねる。
「わり…俺、デート」
「俺も」
友人たちは口々に言った。
「ハァ?」
昴は唖然とする。
「イヤ、有り得ねぇ~お前らいつからっ」
友人AとBを見ながら彼女を勝手に作ってた裏切者たちを交互に睨む。
「イヤぁ高校入ったあたりから」
「言おうと思ってたけどなかなか機会がなくて。てかお前いないから可哀想で」
今ズバッて言ったBの方に制裁を加えてAの方に向き直った昴。
「―そういう事なら仕方ねぇ!!青春は待ってくれねぇからな。楽しんで来いよ」
昴は心の中で涙しながらいい人を装い、精一杯の気持ちを伝える。
「じゃ」
「そういう事で」
楽しそうに笑う友人の後ろ姿を昴は虚しく見送った。
「はは…」
誰も居なくなった教室でガックリと昴は肩を落とした。
「帰るか」
虚しく呟き教室を後にする。
「ハァ~今日誕生日なのにな」
軽く傷心しながら昴は石ころを蹴った。
「ナイスショット!」
近くの川にポチャンと音を立て石は沈む。
「部活、辞めなきゃ良かったな~」
中学まで空手を一生懸命やっていた自分の姿を思い出して昴は呟いた。
放課後は常に部活だった為に遊ぶ暇がなかったし。もともと遊ぶ時間欲しさに辞めたんだけど。
高校にもなれば彼女の一人や二人いてもおかしくないし、本気で進学しようとするヤツは塾に行くし。部活に高校生活の青春をかけてるヤツに遊ぶ暇などない。暇なのはAとBくらいだった。自分と同じように帰宅部で彼女もいなくて将来は就職一本。
―だったのに…。彼女が出来るなんて。ついに負け組は自分だけと言う訳だ。
「ちくしょう…」
言葉にするとさらに虚しくなってくる。
「女なんて糞くらえだ」
昴はまた石ころを蹴る。
「離して下さい!!!」
―とその時、大きな声が聞こえた。声の主の方に昴は振り向く。
「いいじゃんかよ~ちょっとくらい」
見れば三人のむさいヤンキーの男たちに囲まれた小学生?くらいの女の子がいた。
「今時のヤンキーってのはロリコンなのか~って感心してる場合じゃないか」
一人で呟き近くにあった石を蹴って昴はヤンキーの頭に激突させた。
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