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「……お前らにも、それなりの事情があるらしいな。どうしてもって言うんなら俺は引き止めん。行くなら行くと、好きにするがいい」
お取り込み中のエドワードとアルフォンスの二人の間に横入りしてきた店主は、諦めたように静かに言った。
「ああ、そうさせてもらうよ。コイツが……、オレの弟がたとえ行かなくても、オレ一人で何としてでも行く」
強い決意を込めた顔でエドワードは店主にそう言った。
「駄目だよ兄さん。兄さんを一人で行かせるわけにはいかない」
「アル!!お前まだ分からな………」
エドワードがそこまで言いかけた時、アルフォンスはそれを遮るようにして言った。
「行くなら!!………、兄さんが行くなら、ボクも一緒だよ!だってボクらは、いつも一緒でなきゃ、元の身体に戻る意味が無いから…………」
「ア……、アル………」
「…………」
店内に、沈黙が流れる。
そして………、
「そうだな……。オレらは、それでこそエルリック兄弟なんだからな!!」
「兄さん……!!じゃあ……!」
「ああ、出発だ!!おじさん!オレら二人、森に行きます!」
やっとエドワードとアルフォンスの二人に、エルリック兄弟らしい笑顔が戻る。
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